Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2

By b.myhoney - 6月 27, 2022

ついこの間の記事で「梅雨入りしたらしい」と書いたばかりな気がしますが、もう梅雨明けが発表されたようです。早っ。

そして明日からはしっかりと30℃越えの日々が並んでいますね…。わが家は冷房設備無しの露天栽培で「肩肘張らない」がテーマなので本格的な高地性は栽培できませんが、ある程度の耐暑性・耐乾燥性がある種であれば、春から屋外の空気に慣らしつつ乾かし気味に株を作っていけば多くの品種で十分に夏場を乗り切ることができます。

とはいえ熱帯夜が続くようになると代謝が上手くいかなくなる株が少しずつ出てくるので、低地性的な特性が強い株以外はやや生育が鈍る季節となってきます。これまでよりも注意深く植物を観察するようにしていきたいですね。

N. veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 (Borneo Exotics)

N. veitchiiのBE-4033が新しいピッチャーを付けました。前回よりやや丸みがあって、襟のストライプも派手めな仕上がりとなりました。

これまでの記録はこちら。

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 小さな進捗

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 最近のようす

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 変わっていくということ

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 これはきっと良い交配

BE-4033は「数100もの異なるクローンからのランダム・アソートメント」(BEの説明)なので、培養容器内に混在する数多くの種子から増殖させた個体がランダムに取り出され発送されてくるということになります。こういう多数クローンが混在するBE品番は、ほぼ同じ個体に出会うことはなく、N. veitchiiのような個体差が幅広い品種は特に実生に似たワクワク感を楽しめます(笑)

この個体を入手した時、幼いながらも襟の濃いめなストライプが印象的でした。今回のピッチャーはその時の印象を思い起こさせてくれるようなストライプを見せています。

また、細長かったピッチャーも成長するにつれ丸みを帯びたものにだんだんとなってきた感があります。高地性のN. veitchii、特にバリオ産は株が充実してくるとその傾向を見せます。

Parents of N. veitchii BE-4033

BE-4033の作出に使用された両親(上の画像)を見ると分かりますが、母親(黄色い方)の襟は上部から下部まで左右がぴったりと一直線状にくっついており、面積が広いフレアな襟を形成しています。これは純粋なバリオ産ではなくその周辺のケラビット高地由来の高地性N. veitchiiにしばしば見られる特徴で、母株は一般的なハイランドタイプのN. veitchiiの血が混ざった株の可能性があります。BE-4033の幼苗の多くが普通のバリオ産より細長く感じるのもそのせいだと思いますが、成熟するにつれてしっかりと丸くなりますので安心してください(誰が?)。

close-up of the peristome

N. veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 (Borneo Exotics)
latest pitcher

今回のピッチャーはいわゆるCandy stripeといった感じのできばえ。夕陽に照らされたピッチャーはより赤みを帯びて美しいですね。

黄色い母親と、赤みの強い父親のいい感じのミックスが襟に現れている様子がわかります。

N. veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 (Borneo Exotics)
'Candy stripe' on this pitcher

ところで、ネペンテスの少なくない種類が襟にストライプを持っているのは理由があるんでしょうかね。襟の色が異なる個体同士の交配でそうなっただけ、とも考えられますが、いくつもの独立した品種が襟(peristome)という捕虫する上で非常に重要な戦略部品にストライプを発達させていることには、何か特別な意味があるのかもしれません。虫を誘引するんですかね、こういう模様は。興味深いです。


わが家のような乾燥環境では、根がそれなりに増えないといまいち調子が上がってこないのですが、次第に株の拡大が始まってきたかもしれません。このフェイズに入ってくると、ピッチャーもより成熟した形質を示すようになってくるので楽しみです。

N. veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 (Borneo Exotics)
aged pitcher

ピッチャーが完成すると襟の赤い部分が徐々に色濃くなっていき、その後エージングにより熟成ワインのような色合いになります。これはこれで、深みのある色合いが好みではあります。

今後の成長がますます楽しみになる進捗を見せてくれた今回のピッチャーでした。

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