Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 変わっていくということ

By b.myhoney - 2月 10, 2022

少しずつですが着実に日は長くなり、徐々に春へと近づいている実感がある今日この頃です。あと何回か寒い数日を繰り返しながら、次第に温室から出せる気温になってくるんでしょうね。

N. veitchii BE-4033 'Bario Highland grex-2' (Borneo Exotics)
Borneo Exotics(スリランカ)のBE-4033というコードを持つ、'Bario Highland' grex-2と記されたこのN. veitchiiは、バリオ産の両親同士の同系交配から生まれた個体群です。同じくバリオ産同士を掛けたBE-3734とは違う両親を使っているため、こちらは「グレックス2」とされています。多数クローンの培養苗からランダムで送られてくるため、けっこう個体差があります。

両親についてはこちらの過去記事を。
bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 小さな進捗

今回のピッチャーで急に襟が幅広くなり、N. veitchiiらしい姿になってきた感じがします。なんとなくこの品番は前のBE-3734よりも幅広でフレアな襟をもつ傾向がある気がしますね。

入手時からのピッチャーの変化をまとめてみました。これを見ると、成長に伴って次々とピッチャー形状が変化してきたことが良く分かります。

transition of pitcher morphology (same plant)

売られていた時には細長い形状のピッチャーからか見向きもされていませんでしたが、バリオ産は株が成熟すれば遅かれ早かれ袋は丸くなるので(注1)、襟の密なストライプや内壁の赤っぽい色を見て私は購入を決めました。

2つ目の、鉢の上に腰かけたピッチャーではすでに幾分丸みを帯びていることや、強めの日照でピッチャーがピンク色の発色を示している事実は、ある時点でのピッチャーの見た目がいかに当てにならないかを示しています。その時の株の状態や生育段階、日照条件などで、同じ個体でも形状や色合いは大きく変化しうるのです。

幼い時点から有望な素質を示す優秀個体もありますが、他方で、育っていくうちに化ける株もあります。そして個体ごとに全く表情が違ってそれぞれの個性があります。この辺がN. veitchiiのとても面白いところだなと思います(つまりは沼)

次のピッチャーで、引き続き強めの日照で襟が派手になった後、4枚目の写真では本種らしく幅の広い襟が確認されました。その後も5枚目、6枚目(今回)と、ピッチャーを作るごとに印象が変わってきています。

本種は生長が遅く成熟までは時間がかかりますが、ピッチャーを作るたびに少しずつ魅力的な見た目に変化していくので、その忍耐に値する報酬をもたらしてくれます。

(注1) Barioと同じ地を示す'Bareo'表記(現地語の表記らしい)の名が付けられたN. veitchiiの中には、明らかにバリオ産と違うように見える系統があるので注意です。袋がバリオのようには丸くならずに少し細長く、襟がよくフレア状に広がって巻き切らず、茎が匍匐(ほふく)せずに上へ伸びる傾向がある個体群は、バリオ産ではない一般的な高地性N. veitchiiに見られる特徴なのではと個人的には見ています。下の写真はその代表例、MT (Malesiana Tropicals)のN. veitchii NE-32C (Bareo)です。

N. veitchii NE-32C 'Bareo' (MT)
an elongated pitcher with flared peristome seems to be different from 'Bario' form

開きたての頃はこんな感じでした。襟も淡い色合い。


現在はこんな感じで固まりました。鉢の淵に襟が引っ掛かったおかげで上の方が広がって見える奇妙な形をしていますが、本来であればもう少し後ろに巻いたんだろうなと思います。


まだまだ幼い株ですが、私の目には丸々とした袋に成長した姿が既にはっきりと見えています(親バカなので)。

今後どういう風に変化していくのか、成長記録を定期的につけていけたらなーと思います。

【追記】次のピッチャーが完成しました

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