Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 2) 行進スタート
これはわが家に初めてやってきたストライプ襟のビーチ・バリオで、思い入れがあります。また、順調にぐんぐんと大きくなってきたので、その健康さ、強健さからも、見ていて気持ちがいい株の1つです。
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Nepenthes veitchii BE-3734 ‘Bario Highland’ (Borneo Exotics) |
前回の記事はこちら。
bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 2) 様々な顔を見せるピッチャー
BE-3734は、スリランカのBorneo Exoticsがリリースしたバリオ産N. veitchiiの定番的品種です。個体差が非常に大きく、概ねグリーン~ピンク系のピッチャーに、ストライプは無いか控えめな印象ですが、たまにボールのように真ん丸のインパクト大な袋を付けます。
後にBE-4033という品番がリリースされていて、それは使用している両親がBE-3734と違う個体なので、’Bario Highland’ grex-2などとラベルには表記されています。それに伴って、こちらの品番も最近は後付けでgrex-1と表記されるようになりました。
ちなみにgrexとは主にラン業界などで使われる用語のようで、ある交配に使用された両親に着目して個体群を区別する呼び方のような感じです。日本の園芸用語の「きょうだい株」と似たような意味を含むでしょうか?つまり、あちらの品番ではgrex-2を付けることで、BE-3734とは別の交配のバリオ産N. veitchiiであると明記したわけですね。
「grex1とはBE-3734のN.veitchiiは全て1つの花から採取した物という意味でございます。」などと書いているいい加減な業者もありますが、これは誤りです。
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incomplete pitchers during winter |
株自体は順調そのものでしたが、ピッチャーを立て続けに2つ、生育不良で失敗しています。一つめは蕾の頃から少し口が開いていた、蓋の小さなピッチャーとして完成しました。そしてその次には、蓋と呼べる部分がほぼないだけでなく口の部分すら満足に形成されていない、まるでN. aristolochioidesのようなピッチャーを完成させたのでした…。
このピッチャー形成不全について、食害虫やウイルスの影響とする説が良く言われていますが、どちらも光合成効率が低下する冬季のピッチャーで、僕は単に生育エネルギーの不足みたいな理由ではないのかなとも思ったりします。他の株でも冬季や植え替え後などに蓋の形成が不十分なピッチャーがしばしば見られました。
やっとまともに完成した最新のピッチャーは、ややでっぷりとしたボディに小ぶりな口を持っています。毎回違う表情のピッチャーを付けるのが本種の面白いところです。
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N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Borneo Exotics) |
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N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Borneo Exotics) close-up of its peristome |
派手さを抑えたボディ色に、やや控えめなストライプ。そして少々丸みを帯びた形状。
目を見張るような色彩とコントラストのN. veitchiiが増えてきた中で、私はこの株の控えめな加減がけっこう好きですね。
上から俯瞰してみると、茎が横へ倒れて地を這いはじめていることがよく分かります。これはサラワク州に位置するバリオ(Bario)周辺のN. veitchiiに特有とされる、匍匐(ほふく)性の生育特性です。他の産地、例えばバリオ村周辺を除くKelabit高原の高地性や、着生種の低地性、木の幹に巻き付いて登る産地のN. veitchiiは上方向への生育を見せることが一般的だと言われます。
ついにこの株も這い始めて、成熟株としての形質を見せはじめるのでしょうか。楽しみ。
ちなみにこの株は3号程度の小さなスリット鉢に植えてありますが、本人は全く気にすることなく生育を謳歌している模様です。葉の展開スピードが若干早くなった気がしており、既に鉢が見えなくなりそうな勢いで飲み込まれつつあります。
これからバリオ産が栽培スペースを食いつぶしていく様子をつぶさに目撃することになりそうですね(笑)
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N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Borneo Exotics) |
斜め後ろから見ると幾分丸っこく見えます。
そして、このフタの形状がまるで、キザな性格をしたキャラクターの髪型に見えたのでこの写真を撮りました。主人公のま○子に「どうしたんだい、セニョリータ」とでも言いそうな風貌をしています(笑)
このピッチャーを展開しながら、既に次の葉の先に蕾を膨らませ始めているので、そう遠くない未来に次のピッチャーが見られそうです。楽しみですね。
【2022.07.22 追記】
↑予想通り、次のピッチャーが早速完成しました!
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