Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 2) 調子が良さげ

By b.myhoney - 7月 22, 2022

ちょうど1ヶ月ぐらい前の記事に「既に次の葉の先に蕾を膨らませ始めているので、そう遠くない未来に次のピッチャーが見られそうです。」なんて書きましたが、その予想通りまたピッチャーを完成させたので記録として記事を書きます。

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 2) 行進スタート

↑前回の記事でも、このBE-3734という品番の概要を説明したので、この記事では省きます。特別派手さはない個体群ですがその控えめさ具合も結構好みで、個体差の幅が大きいことや値段が安いこともあって、つい集めたくなってしまう品番です。


前回の記事から時間を置かずして、程無くピッチャーを膨らませ始めました。最近の晴れた日こそ少々暑いですが、ちょうど5月の終わり頃から7月ぐらいにかけては自生地バリオと気温が近い(↓過去記事参照)日々がそれなりにあるということもあってか、この時期の調子は良さげです。

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4033 'Bario Highland' grex-2 最近のようす

N. veitchiiという分布の広い種の中で、着生植物の低地性と区別して「高地性」と呼ばれていますが、せいぜい1,000 mに満たない程度の高度で中間地性の色合いが強いです。寒いのはむしろ苦手で、わが家のようなローランド環境でも用土表面が乾いてからたっぷり灌水というごく基本的な管理でよく育ちます。

今回のピッチャーは蕾の頃からややずんぐりと幅がありまして、その姿かたちから私にはこう見えて仕方がありませんでした。

「戦争なんて… 腹が減るだけだ!」

ゲ○ゲの鬼太郎に出てくるあの御方ですね。1分ぐらいで落書きしたので適当です、すいません。

今回のピッチャーは、これまでよりもはっきりとストライプが入った感じがします。日照時間や波長のスペクトル分布、株の成熟具合など様々な要素がピッチャーの発色に関係してくるんでしょうね、恐らく。


横から見たところ、丸々とまではいかないものの、これまでのピッチャーより丸みを帯びてきたのが分かります。さらに株が充実していくとどうなるのか楽しみ。


この、フタが開いてきて襟がたてがみのように広がった頃が好きです。「いい感じにストライプ入っとる!」「どういう風に形が固まるだろう」と毎回わくわくしますね。

N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' grex-1 (Borneo Exotics)

はじめは黄色っぽかったボディが、次第にほんのりピンク色を帯びていきました。うーん、美しい!

最終的にはこんな感じのやや角張った印象の襟となりました。ひとつのピッチャーが見せる経時的な変化だけでも楽しめるところが本種の良いところ。

N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' grex-1 (Borneo Exotics)

N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' grex-1 (Borneo Exotics)

株は相変わらず淡々と葉を展開して、小柄なスリット鉢を飲み込もうとしています。本種は根の量がそれほど多くはなく根からの吸水がそこまで活発ではない、さらに葉も厚くて乾燥によく耐える(ドライアウトは禁物!)ということもあって、鉢は小さめの方が管理しやすいと思っています。

ステムも太くなってきました。バリオ産はこうやって這うので、栽培スペースを水平方向に喰い潰していきます。特別巨大な品種じゃないのに「N. veitchiiは場所をとる」と言われるのはこういう理由から。

ピッチャーの変遷

N. veitchiiという品種は葉を展開するごとにピッチャーの見た目が変わっていくのですが、それがよく分かるのが以下の組写真です。上の写真が2021年8月~12月、下の写真が2022年2月~7月のピッチャーの変遷を示しています。

ピッチャーの変遷 (2021年8月~12月)

2022年2月~7月

こうやって見てみると、このクローン(個体)は細くピンストライプ状に襟の模様が入るのが特徴と言えそうです。襟の形に着目してみると、襟の幅が狭いシャープな印象のピッチャーを付けるときもあれば、 幅が広く巻ききらないまま固まるときもあるなど、2つの形質がかわるがわる顔を出しているような印象です。この、形質が固定されず不安定に振動する現象は、原種・交配種のどちらを育てていてもしばしば見かけるような気がするのは私だけでしょうか?両親や、さらに先祖が遺伝子に持っていた劣性(潜性)の形質が現れたり隠れたりする、先祖返りのようなものなのかな~なんて漠然と思っていますが、詳しくないので分かりません。

ともかく、派手な個体はそれほど多くない品番ではありますが、最新のピッチャーのような方向性で形質が固まっていってくれると、程よく上品でいい感じです。

N. veitchii 'Bario'は、基本的には株が生長していくとある時点を境に段々と襟は見事になっていき、袋は丸く、発色も良くなっていくというような傾向を示します。葉を1枚展開するごとに見せるちょっとした変化に一喜一憂しつつ、「将来どんな姿になるのだろう?」などと妄想を膨らませる。これが本種を幼苗から育てる大きな楽しみだなぁと感じています(なのでわが家には既に○株の幼苗N. veitchiiが、、)。そして、その楽しみに気づいたとき、貴方はすでに沼に片足を踏み入れていて、時すでに遅し。ようこそ、こちら側の世界へ(笑)

【追記】次の記事を書きました!

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 2) 派手じゃなくとも

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