Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 1) ミドリもいい

By b.myhoney - 7月 25, 2022

先日の記事に続き、同じ品番の株を。スリランカのナーセリーから来たバリオ産N. vetichii、BE-3734です。


生産者のBE(Borneo Exotics)は昔、この品番について「母親、父親ともに赤いストライプ襟の個体で、その子孫は高い確率で赤いストライプを持つ」と説明していましたが、ある時点から「母親はピュアゴールド・フォーム、父株はキャンディストライプ襟とピンク色のボディを持つ」というようにしれっと説明を変えています。

何の言及も無いままいつからか母株の素性がひっそりと書き換えられた理由は定かではありませんが、BE-3734品番の個体をこれまで見てきたところ、少なくない個体がオールグリーンのフォームなので、現在の説明の方が正しそうです。というか、BEがこれまで他の交配にもストライプ襟のN. veitchii Bario(♀)を使用した記録は確認できず、そもそもキャンディ個体の母株を持っていないんじゃ?と思わなくもないです。

閑話休題。

この株の前回の記事は昨年の11月のようで。

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-3734 'Bario Highland' (Plant 1) 生長遅い個体

前回からしばらく間が空きましたが、それはあまり目ぼしい成果が無かったからです。

前回の記事では、根の周りのみを覆っていたミズゴケが過湿で傷んでいたのでそれを外し、新たに素焼鉢にミズゴケ単用で植え直したことが書いてありますが、その後いろいろ考えているうちにまた植え替えをしたくなってしまったのでした。

わが家で育てている多くの品種にとってミズゴケはかなり万能な用土なのですが、それでも屋外栽培で屋根もない環境で雨が続くと過湿気味になってしまいます。この株は根があまり充実していないこともあり、またそのためか(もしくは個体差か)生育も遅い個体ですので、吸水が乏しく土中水分が停滞しがちになります。そのような用土環境を反映してか、これまで葉の大きさに対して小さなピッチャーしかつけてくれませんでした。

葉に比べて小さなピッチャーをいくつか付けたところで、今度はプラ鉢に鹿沼小粒の単用用土への植え替えを決意しました。こうやって不必要な植え替えを何度もしてるので、この株には本当に申し訳ないなと思います。なかなかこの株の好みを掴むことが出来ていませんでしたが、今のところ、私の灌水頻度と環境ではこのくらいの用土が合っているという感触を得ています。

ミズゴケを丁寧に取り外す
 

現在は鹿沼単用で植えている

そんな度重なる植え替えを乗り越えて、この度ようやくまともな(と言っても襟と蓋が少し不完全)ピッチャーを付けてくれました。

開きたてのピッチャー。蓋が形成不全でやや小さい

新しいピッチャーは隣の鉢の用土に腰かけて膨らみ始めたこともあり、やや丸みを帯びた形状になっています。サイズもこれまでから一段階サイズアップして、形質もやや成熟に近いものになった気がします。


私はいつも撮影のために鉢を引っ張り出すのですが、今回は隣の鉢に着地したため2鉢取り出して撮影しています。

グリーン(イエローともいう)の個体なのですが、翼の先端や蔓の部分などはほのかに赤みがかっていて美しいと思います。

N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' grex-1 (Borneo Exotics)

別アングルから。こう見ると結構ずんぐりして見えます。

バリオ産として売られている中にも厳密には少し違う個体群があって、それらは襟が派手にフレアする代わりにややピッチャーが縦長の見た目をしていることが多いのですが、BE-3734はより典型的なバリオ産の見た目に近いと思っています。多くのクローンでは襟がそれほど主張しないものの、ピッチャーは結構丸くなって形が良いです。

N. veitchii BE-3734 'Bario Highland' grex-1 (Borneo Exotics)

シャープな印象の襟がカッコいいです。

グリーンの個体はキャンディ・ストライプの派手なN. veitchiiと比べると雰囲気が全然違って、色味がシンプルなぶん造形がより注目されるので、個人的にこれはこれで違ったカッコ良さがあると思います。高名なN. veitchii 'Candy Dreams'などを筆頭に、真っ赤なボディのキャンディ・ストライプ個体が様々なナーセリー・栽培家のもとで作出されてきていますが、逆にいつの日か緑一色のシンプルな個体が再び脚光を浴びる日が来るのではないかと思ったりもします。


ステムも少しずつ太くなって、匍匐の生育特性を見せ始めています。このステージになれば、接地された袋は安定して丸く形の良いものを付けるようになると思われます。相変わらずこの個体の生育はのんびりペースなものの、調子は悪くなさそうで、ひとまず用土と鉢はしばらくこの組み合わせで様子を見ていけば大丈夫そうです!

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