Nepenthes veitchii BE-4021 'Bario Gold' cross 環境に合った葉

By b.myhoney - 8月 03, 2022

3月に記事を書いたBEのバリオ・ゴールド実生の進捗です。

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4021 'Bario Gold' cross 言い訳を聞いてくれ

当初植えてあった用土はわが家の環境だと相性が悪くてどうも苦手だったので、記事を書いた直後に植え替えました。

本種としては、株のサイズの割にけっこう根が充実している方だと思います。わが家に来るまでは高湿度下で管理されていたような雰囲気を地上部の草体が醸し出しており、そのため根は少なめかなーとばかり思っていたので、植え替えの時には驚きました。

用土は小粒の鹿沼土単用としました。わが家の管理では、バリオ産のN. veitchiiはプラ鉢なら鹿沼土で植えれば大抵の場合は問題ありません。


植え替えて1ヶ月もしないうちに、古い葉が枯れ始めました。ただ、これは想定内ですので慌てることもなく。環境の変化に対して植物が適応している過程なわけです。

導入時についていた葉が薄く柔らかかったこと、葉のサイズに対してピッチャーが小さめで幼かったこと、そして全体的に赤みを帯びていたことなどから、以前の環境は湿度が高く温度が低めの高地性向け環境だったことが伺われます。まあ、高地性寄りの業者さんから入手したので当然と言えば当然ですけど。少なくとも、温度制御も調湿もないわが家の環境とはギャップがあると思います。

そして近況。

厚くて小さな葉が2枚、展開を完了しており、新芽も葉として展開をしようとしています。植え替えのショックもあると思いますが、乾燥した風に晒されたわが家の快適ではない環境に適応するために、蒸散を減らしつつ葉の物理的な強度・貯水量を確保した努力の成果でもあると言えます。

次の葉も順調に展開し、表面にはワックスを塗ったようにツヤツヤとしたクチクラ(キューティクル)層が形成されています。これも乾燥ストレスへの適応策です。葉のサイズも少しずつ大きくなり、環境に慣れてきたと見て良さそうでしょうか。

せっかくこれまで整った高湿度環境で育てられていたっぽいのに、それをリセットして乾燥環境に適応せねばならないというのはなんとも可哀そうですが(笑)、私はこのようにがっしりと締まった株が好きなので仕方ありません。私に拾われて運が無かったのです。

湿度が維持されて一日の温度変動が適正に制御された環境下で上手い人が栽培すれば、N. veitchiiのような強い種なら導入後も止まることなく生長させられ、すぐに株のサイズを大きくできると思います。ですが、整った環境で育ってきた株は組織が軟弱で環境変化に強くないとされ、例えば停電や機材の故障などで設備が正常稼働しなくなった際に、私の技量では調子を崩した株を立て直す自信がありません。

それよりも、なるべく電気設備に頼ることなく、あえてストレスに晒しながら丈夫な株に仕立てようというのが私の基本コンセプトです。幸いにして私が大好きなN. veitchiiは強いので、それができます。牙系の高山性原種が大好きな人にとっては冷房がほぼ必須だと思うので、なかなかそうはいかなそうです。

(注:本格的な設備を導入するための理解が家族から得られないということを、もっともらしい理由で誤魔化しているわけでは決してありませんよ!決して!あと、電気設備に頼らない=自動化されていないということなので、もし自分の健康に何かあった場合のリスク管理が全くされていないということの裏返しでもあります。。。ここはゆくゆく真剣に考えていかなければならないところ…。)


無事、わが家に来てから作り始めた最初のピッチャーも完成しました。

前回の記事にも記したように、来た時にピンク色だったピッチャーはやはり低温環境下で育成されていた影響であると思われ、今の気温ではグリーン系(ゴールド系)のピッチャーとなるのでした。冬季に低温気味に管理すると、再びピンク色のピッチャーを付けます。


襟はいくぶんN. veitchiiらしくなりました。

そしてこの個体、何やら結構丸くなりそうです。将来が楽しみですねー。

N. veitchii BE-4021 'Bario Gold' cross (Borneo Exotics)

環境に適応して小ぶりで厚い葉を展開したのですが、そこについたピッチャーは以前よりも大きくて成熟した見た目のものであることが分かります。わが家ではよくあることなのですが、強光・乾湿のメリハリといった昔ながらの低地性寄りの管理をするとこうなることが多いです。株の直径だけで言えば幼い苗に見えるけど、ピッチャーは普通よりも成株の特徴が出てくるというか。不思議ですね。

ともかく、植物は地下部の吸水と地上部の蒸散のバランスを環境に合わせて取らないといけないわけで、根は思いのほか充実していたところを見るに地上部も早めにサイズを戻してくれると良いですね。

徐々に適応が完了して調子を戻しつつあるので、ここからしっかりと丈夫に育って行ってくれると良いですね。

  • Share:

関連する記事

0 Comments