Nepenthes veitchii BE-4021 'Bario Gold' cross 言い訳を聞いてくれ

By b.myhoney - 3月 01, 2022

少し前の話になりますが、わが家に新たにやってきたのはこの個体です。

N. veitchii BE-4021 'Bario Gold' cross SG (Borneo Exotics)

販売者のBorneo Exotics (BE)によれば、これは2020年7月に導入された品番で、実生の数量限定リリースということ。黄色(or グリーン)のボディに、ストライプの無い黄色の襟を持つ、いわゆるN. veitchii Bario Goldと呼ばれる両親を用いた交配です。

数量限定とのことで、まだ在庫があるのかは分かりませんが恐らくすでに売り切れているのではと思われます。ほとんど流通しているところを見たことがなく、入手は簡単ではない筈です(単純に数量が少ないという理由のほかに、人気が無いためというのもありそう)。

実際に、業者さんのネットショップに発見してからしばらくの間動向を注視していましたが、誰からも買われることなく売れ残っていたところ、今回わが家で保護するに至りました。

Parents of N. veitchii BE-4021 (via Borneo Exotics)


母株はBE-4033と同じく、彼らがID #0225という番号で管理するイエロー系の個体。父株はID #0210という、ほんのりピンクがかったロングネックな個体。この両親からの子孫は基本的にイエロー(ゴールド)系の無地な襟なのですが、稀にストライプが入ることもあるようです。

♂親のネックが長いことの他は特筆すべき点のないようにも思われる両親で、一般的な売れ筋である、赤いボディに豪華なストライプ襟のN. veitchii Barioとは程遠い形質です。特に国内では山田食虫植物農園(Y's Exotics)さんから、両親にバリオ産の真っ赤な優良個体を使用したN. veitchii 'Akazukin' x veitchii Bario stripe peristomeという品種が安価で手軽に入手できることから、本個体が見向きもされなかったのも容易に理解できます。

doesn't have any stripe at this time

正直なところ、私はこれ以上BEのN. veitchiiを増やすつもりはありませんでした。今後はそれ以外の由来を持つ際立った個体があれば入手しよう、そう心に誓っていたのでした。

 

…それではなぜ、今回これを入手してしまったのか。その謎を解明すべく、我々はアマゾンの奥地へと向(以下略)

 

その理由は至ってシンプルで、某インス〇グラムというSNSでBE-4021の美しいゴールド襟を見てしまったのです…。使用している方なら分かるでしょうけど、あのツール怖いですよね…。

the latest pitcher is relatively tubby
最新のピッチャーはやや丸みを帯びている感じ

アメリカや欧州を中心に、優良個体を用いたバリオ産N. veitchiiの交配が盛んに行われてきた結果として、先述の「赤くて、丸くて、派手ストライプ」な個体が持て囃されSNSなどでも数多く見かけるようになっています。もちろん私もそのような個体が大好きです。

その一方で、派手な袋を見慣れた目にはシンプルなゴールド襟の個体の良さが新鮮に映るようになってきました。海外の方のその個体はそんな私の心に刺さったのです。


ピッチャーはなかなかピンク色を帯びています。葉も赤みを帯びていることを考えると、わが家に来る前には低温の高地性環境に置かれていたのではと想像しています。N. veitchii Barioは高地性とされていますが、実際には中間地性的な傾向が強くあまり寒いところは得意ではなく、低温環境下に置かれていたことで紅葉が進行したのだろうと見ています。

また、この株はベラボンに植えてあり表面を生ミズゴケでマルチングしてあるのですが、わが家の環境ではこの品種にこの用土は相性があまり良くない気がしているので、近いうちに砂利系の用土に植え替えようと思っています。


新芽の蕾も徐々に大きくなってきています。とは言え輸送と環境変化のストレスを経て完成するピッチャーなので、少々小ぶりな状態で完成するのではと思います。

BE-4021は実生(seed grown)なので1株ずつがそれぞれ異なる個体であり、同じ株はこの世に2つとありません。加えて、もともと個体差の激しいN. veitchiiのことなので、成熟するとどんな姿になるのかは育ててみないと分からないです。これが単一クローンの培養苗や挿し木増殖個体であれば、成株の姿はすでに分かっていることが多く安心できますが、一方で実生やランダム・クローンの小苗を育てることはまだ見ぬ未来にワクワクしながらじっくり育てるという楽しみがありますよね。

これがどのような株になるかは数年先になってみないと分かりませんが、じっくりと育てながら成長記録を付けていこうと思います。

【追記】次の栽培記録を書きました!

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii BE-4021 'Bario Gold' cross 環境に合った葉

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