Nepenthes veitchii (h) EP 人という字は

By b.myhoney - 5月 19, 2022

春になったと思ったら早くも梅雨入りの話が聞こえてきて萎えそうになりました。なんでも今年は平年より早い梅雨入り予想だとか。いくらなんでも早くないですか?

屋外栽培の良いところの1つは、太陽光をフルに活用してカロリー高めにがっしりと株を栽れること。そして蒸散の早さを利用して効率的に乾湿のメリハリを付けられること。

一方で、梅雨など長雨が続くとこうした長所は半減してしまうなど、気候リスクを内在していることが短所の1つに挙げられるでしょう。あまりに濡れた時間が長いと、根の通気や通水を好むN. veitchiiのような種の根腐れや、そのまま高温になることによる根部の蒸れなどに注意が必要となってきますよね。

N. veitchii (h) Exotica Plants


オーストラリアはクイーンズランドのExotica Plantsによる高地性(中間地性)のN. veitchii。バリオ産ほど丸くはならず、襟にストライプが無い個体がほとんど。

↓前回の記事
bijou nepenthes: Nepenthes veitchii (h) EP 真冬の新ピッチャー

一説によると、本品種はN. veitchii (k)と同じ親の交配で、ストライプ有りを(k)/無しを(h)としてラベリングして販売したという話があり、確かにそのような記述の古いウェブサイトもあるのだけど、本当のところは分からない。いずれにしても、販売からもうすぐ20年になろうとするのに未だに流通があり大切にされる(k)に比べると、(h)は不人気感が否めないです。私は好きですけどね、この品種。


脇芽を挿したものと思われる小さな株から育てて2シーズン目なので、まだまだ小さいです。この株は、ピッチャーは少しずつ大きくなってきているものの、リーフスパンはなかなか大きくなりません。何らかの環境が合っていないと思われ、きっと用土が乾きすぎか、空気乾きすぎ(またはその両方)かな、と思っています。

バリオ産のN. veitchiiの多くが低湿度にも難なく順応し、暖かい気候を好んで夏場の高温にも耐え、実質的には中間地性(それもやや低地性寄り)という印象を受けるのに比べると、なんとなくN. veitchii (k)や(h)からはもう少し高地性の要素を感じるのです。高山性ネペンのように、空中湿度高めで育てるのが正解なのかもしれません。カラッカラでごめんよー…。

梅雨は空中湿度が高くなるので彼らにとっては良いのかもしれませんが、肝心の日照が壊滅的では元も子もありません。今年の梅雨はそこそこ晴れますように~南無南無。

N. veitchii (h) EP
the latest pitcher is still juvenile but its peristome already shows beautiful yellow to pink coloration

最新のピッチャーは、小さな葉に比べればいくぶん大きく、そして美しいイエローペリストームというべき襟を見せ始めています。(h)や(k)って、翼や蔓が綺麗なピンク色に染まる傾向があって個人的に好きなんですよね。

また、内壁の色が濃いのも特徴的。

N. veitchii (h) EP
the old and new pitchers

新旧いい感じに寄り添っていたので。「人という字はぁ~」という武田鉄矢氏の声が聞こえてきそうな写真であります。

横から見たネックの高さが、ピッチャー形質が少しだけ成熟したことを示していそうです。


ネペンテス、特にN. veitchiiのような種類は、小苗から成株に向けてピッチャーの容姿が次第に変化していき、やがて大成するというワクワク感が醍醐味だなと個人的に思っているので、私はすすんで小さな株から育てるようにしています。(今の株たちが成熟した頃のスペースの想定はしておかねばいけません…)

「映える」写真が撮影できるようになるまでには少なくとも数年かかりますが、その過程も楽しみだと思って。この株もまだまだ小さいですが、少しずつ大人に近づく様子を記録していけたらと思います。

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