Nepenthes burbidgeae x (veitchii x lowii) BE-3993 ハードな環境
わが家のような屋外の露天管理(冬季は屋外温室)の場合、ミスト装置などの補助がなければ、基本的には乾燥空気の風に晒されている時間が長いわけです。晴天が続く場合は特に。
高地性にしろ低地性にしろ、ネペンテスがある程度の湿度がある環境に自生する植物である以上、乾いた風に晒されて自生地よりもかなり激しい蒸散を強いられるであろう環境は過酷と言えるはずです。過湿で葉や根が常に濡れたような状態では病気/根腐れのリスクも高まりますが、かと言って、わが家の乾燥環境は植物の負荷になっていると思います。
ですので、新しい株を導入すると、あまりのハードな環境に調子を崩して次々と葉を落とすことがしばしば。特に、それまで整った高地性向けの室内温室環境で育っていたと思われる株の場合は顕著です。
そんなこんなで、わが家には紹介できていない療養中の株がいくつかいるのですが、今日の株はそのうちの1つ。スリランカのBorneo ExoticsによるBE-3993という番号の交配種。
N. burbidgeae x (veitchii x lowii) BE-3993 (Borneo Exotics) |
ご覧の通り、古い葉に痛みは見られるものの、その後調子を戻してきてやっとまともな葉を展開するようになりました。ピッチャーの蕾を2つ、小さいながらも並行して膨らませ始めており、また新葉にはクチクラ(キューティクル)がつやつやとして乾燥環境に適応した様子を伺わせます。
一般的に植物は、自らの意思で移動できない代わりに環境に対する適応機構を備えています。空気中・土中の乾燥ストレスに対しては、短期的には気孔を閉じるなどで蒸散を抑えるとともに、中長期的にはクチクラ層(葉の表面のワックス状コーティングのようなもの)を厚く形成した葉を展開するなどの環境適応を見せます。
やっとピッチャーを膨らませてくれた |
私が目指そうとしている植物の姿は、過保護でない環境でがっしりとした草体を持つ株に育った姿であり、そこにリーフスパンに対して大きなピッチャーをつけるようになればいいなーと思いながら栽培しています。
それにはある程度の環境ストレスを与えて植物に適応させることが必要で、ネペンテス栽培の古典的かつ基本とされる「乾湿を付けて」とか「乾かして育てる」がそれに当たるかなと思います。ただ用土の乾湿は一定範囲の種に効果的な育て方であっても、空気中はもっと湿度を高く維持すべきかなとは思っています。まあ、解消の見込みは無いんですが(笑)
誰か温室付きの土地をください…何卒。
N. burbidgeae, N. veitchii, N. lowiiという、どれも独特な色味や形状が魅力的な原種を用いた交配であり、また個体差が非常に激しいようです。この3種類の中でどの遺伝子が強く主張するかによって、全く異なる見た目になって面白い品種だと思います。
私はピッチャー形状、発色、襟の様子が好みだったこの個体を選んで購入しましたが、まだ調子が出始めのこの蕾にはその片鱗は現れていません。この株の本性を再び垣間見ることができるのはもう少し先のことになりそうです。
この個体の次回の生育記録において、BE-3993という交配の両親の素性などについて書いていきたいと思います。
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