Nepenthes St. Pacificus この品種ひょっとして意外と…?

By b.myhoney - 10月 14, 2021

季節はすっかり秋めいて、一年の早さを痛感する今日この頃。これからはわが家のネペンテスにとって厳しい時期である冬が訪れます。

N. St. Pacificus

カクタス長田さんがホームセンターなどに卸している、入門用の品種。いわゆるホムセンネペン。

ハワイのキラウエア火山噴火の被害を受けたナーセリー、Leilani Nepenthes(Samuel Estes氏)が作出した交配種。N. ventricosa x N. biakです。

こちらにもその経緯は少し書いてあります。

bijou nepenthes: Nepenthes St. Pacificus

ネペンテスがぐんぐん調子を上げてくる5月頃から、家の近くのホームセンターや園芸店には食虫植物が並び始めます。栽培品の調子も上向きワクワクしてくる季節ですよね。 意外と侮れないホムセンネペン 近所のお店ではカクタス長田さんや大彰園さんのアソート、あとはお隣愛知県の農家さんで生産されたと思われるN. alataやN. x ventrataなどを見かける機会が多いです。 食虫植物アソートに混ざっているネペンテス(ウツボカズラ)は、

夏場の停滞原因を探る

この株、今でこそピッチャーをぽこぽこと付け始めていますが、7月にまあまあのサイズのピッチャーを2つ付けた後はしばらく不発が続いていました。

春先~梅雨から初夏ごろってネペンにとっていい時期ですよね。まあうちは春先の立ち上げに少し失敗してスロースタートでしたが…。

この夏季の停滞について少し考えてみようと。

Cheek & Jebbらの記載論文によるとN. biakは石灰岩の海食崖(Limestone coastal cliffs)に地生的に生息、たまにマングローブ林に着生とのこと。

石灰岩種の性質などについて参考になるかもしれない記事↓

bijou nepenthes: 石灰岩土壌のネペンテス その1

より着生的で癖がある近縁種N. insignis(Biak島でなく本島のフォーム)ほどではないとは思いますが、こちらも着生するということで根の通気が大切だろうと。もう片親のベントリコーサも用土の通気は好みますので、素焼鉢に中粒の砂利系用土の選択は悪くないと思います。

鉢内の通気性は良好で蒸れの心配はないと思いますが、逆に過乾燥(いわゆるドライアウト)が気になります。ですが乾燥に強いベントリコーサ譲りのワックスがかったような肉厚な葉を持っているので、同じく乾燥には強そうだというのが印象です。

さらに土内の水分供給不全で出がちな下葉の枯れも進行していないので、ドライアウトで根を痛めたということもないのでは。となると…?

この子、実は意外と…?

そうなると、9月に入り少し気温が下がってから急に調子を上げ始めたところを併せて考えれば、少し暑がっていた?8月頃の葉に赤い点々が出ていたことも高温障害を疑わせます。

低地性のN. biakと、暑さ寒さに強い強靭なN. ventricosaの組み合わせを見て「弱遮光の屋外放置で余裕やろ!」と思っていましたが、意外にも真夏には少し暑がるところがあるような気が今はしています。

確かに、思い返してみるとN. biakの自生地の写真は少し陰った背景が多いような…?

via Marcello Catalano Nepenthes Code Database
(http://www.marcellocatalano.com/insforms.htm)
via article 'An Expedition to Papua' from a blog Musėkautas
(http://www.musekautas.lt/?p=5132)

涼しくなってきてからはリーフスパンも回復し、健康そうな葉をテンポよく展開しています。


夏バテからの回復中なのか、最新のピッチャーは小さめになりました。とは言え、長らく沈黙していた蕾から完成まで漕ぎつけたことは評価したいと思います(何様)。このサイズだとほとんどベントリですね。

latest pitcher is somewhat smaller after "heat exhaustion"

この品種はピッチャーの持ちが非常に良いので、来年の夏は少し暑さに気を配ってあげて鈴なりに仕立ててみたいです。

【追記(2022.06.30)】新しい記事を書きました!

bijou nepenthes: Nepenthes St. Pacificus 植え替えてみた

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