N. maxima x veitchii (Australia) 良い個体を入手した

By b.myhoney - 1月 29, 2022

先日ヒーローズ(Hiro's Pitcher Plants)さんのところから入手した株が届きました。N. maxima x veitchiiです。

N. maxima x veitchii 'Australia' Issei-en

 

老舗「一正園」から来た個体

発色と襟のストライプを見てビビッときました。この交配(maxima x veitchii)の中では華やかさが際立っており、見栄えのする個体であることは明らかでした。

この株は八丈島にあるわが国の老舗業者の一正園から仕入れたものだそうです。一正園は昨年、食虫植物の取り扱いを辞めることが明らかになり、ベテラン栽培家を中心にわが国の食虫界隈に波紋を広げました。なんでも奥様の体力低下に加えて温室が台風被害を受けたようで。

八丈島・一正園レポート(2021年版)|ki-51|note 

私はネペンを始めてまだ日が浅く、一正園さんの歩んだ歴史をリアルタイムで見てきたわけではないですが、間違いなく国内のネペン栽培の黎明期から大きな影響を持ち続けた業者さんであると思うので、一つの時代が終わったという感があります。そういう背景があり、店に残る株を栽培技術を有する方々に譲渡する過程でヒーローズさんの元にやってきた個体ということのようです。

Exotica Plants由来と推測

ラベル表記はN. maxima x veitchii オーストラリア (一正園)で、数十年前にオーストラリアの個体だと言われ入手したそうだとヒーローズさんが書いてました。形質の素晴らしさもあってExotica Plants (EP)由来と推測できます。

Exotica PlantsはN. maxima x veitchiiの交配をN. x Tiveyi(ティヴィーアイみたいに読みます)と呼び、かつてその選別個体にN. x Tiveyi 'Red Queen'や'Sarawak Red'などと名付け販売していた模様です。これら選別個体は国内に流通はほぼ無さそうですが、海外では未だに高い人気があるような雰囲気です。

この個体の増殖元と思われる大株のピッチャーの写真も見たのですが、EPのN. x Tiveyi 'Sarawak Red'など選別個体にそっくりなんですよね。カットした形跡があるので、ヒーローズさんが挿し木で増やして定期的に放出してくれるものと思われます。

ヴィクトリア朝時代(1897年)に作出されたN. x Tiveyiとは違う別個体であるため、同じ栽培品種名を付けることは厳密には正しくないと思うのですが、現代版Tiveyiの再現と言えばいいのでしょうか。オマージュというかリバイバルというか。


襟は入手時から次第に巻いていき、若干巻いたところで固まったようです。クリーム色と濃いピンク色の縞模様が陽の光に映えます。


襟のクローズアップ。海外のキャンディのようなストライプが印象的。自分が虫だったら多分飛び込んでいると思います(笑)


上から。親の組み合わせ的に想像は付いているのですが、挿すときに半分切り落としたと思われる葉の大きさを見ても、大きくなりそうな雰囲気が満載の草体です…。今は深く考えないようにしよう。


カットした跡があります。この株は脇芽っぽい?


今はフレッシュな色合いですが、親株と思われる写真を見るとこの後襟が真っ赤に染まると思われます。こういう経時的な発色の変化もN. veitchiiの血の為せる技ですよね。

この後、生長に伴ってピッチャーがどう変化していくのか楽しみです。

一正園さんが長い間継いできた良個体、今後も絶やすことの無いよう維持・増殖していけたらいいなと思います。

【追記】100年以上前のN. x Tiveyiの由来と、近年のEP作出のN. maxima x veitchiiについて書きました!

bijou nepenthes: N. x Tiveyiとヴィーチ商会、Exotica Plants

前回のエントリ で、一正園由来のN. maxima x veitchii(Exotica PlantsのN. x Tiveyi 'Australia'と思われる)を紹介しました。 bijou nepenthes: N. maxima x veitchii (Australia) 良い個体を入手した それに先立って、このネーミングの本家である1800年代の交配種が生まれた背景について調べたのですが、記事が長くなりすぎるので分割することにしました。

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