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Nepenthes boschiana (BE-3448) x veitchii Bario Y's HIPS

By b.myhoney - 2月 02, 2023

前回の記事に続き、N. boschiana繋がりでこちらの交配種を。

N. boschiana (BE-3448) x veitchii Bario Y's (HIPS)

これは、ヒーローズピッチャープランツ(HIPS)さんが作出した交配種です。恐らくこれまでそんなに多くは売られていないんじゃないかなーと思います。


わが家に来たばかりの頃。2号鉢にちょこんと植えられてやってきました。しかし既に赤いです。ピッチャーだけでなく、新しい葉の付け根まで赤いです。

この交配に使われた母株のN. boschianaは、BE-3448という品番のBorneo Exoticsの雌のクローン。先日の記事に登場したBE-3448は雄株のクローンなので、あれとは違う個体です。

bijou nepenthes: Nepenthes boschiana BE-3448

Borneo Exoticsの説明によると、BE-3448は4クローンからのランダムセレクションで、私の様々な観察の結果、恐らくですがそのうち最低でも雌株は2クローンあります。そして、そのどちらの♀クローンも、黒めのピッチャーに幅広い襟を持ち、とても格好良いクローンなのです。BE-3448同士をシブクロスさせて選別するだけで、相当かっこいいN. boschianaができるんじゃないかなと個人的には思っております。

そして花粉親の雄株は、ヒーローズさんがN. veitchii Bario Y's表記で販売する、真っ赤なストライプ襟のバリオ産N. veitchiiです。これは山田さん作出のN. veitchii 'Akazukin' x veitchii Bario stripe peristomeの1個体であることが、山田さんへの質問箱で判明しております。

bijou nepenthes: Nepenthes veitchii Bario Y's 病み上がり (追記あり)

既に2号鉢が手狭になっている感ありますし、どう考えても生育旺盛な組み合わせの交配種なので鉢増しをします。そっと鉢から抜いて、根鉢を崩さず周りをミズゴケで覆う形で4号ぐらいのスリット鉢に植え替えました。


予想通り、根は結構張るタイプの株だと思います。このモシャモシャしてる緑色の苔、なんという苔なんでしょうね。

この株はN. boschiana x veitchiiという、どちらも好みな原種(しかもBE-3448の♀とキャンディレッドが眩しい♂、どちらも優良個体)同士のハイブリッドであることに加えて、このサイズにしてすでに発色の良さを見せていることから、迷わずポチっとしました。



N. boschianaは開きかけのときに蓋がボンネット形状というか丸みを帯びた形状をしていることがあり、その血を継いでいることが伺えます。

ボディにはN. boschiana譲りのまだら模様が入りますが、そこにN. veitchii Barioの色が乗っかっていることが分かります。


ピッチャー形状自体は完全にN. boschianaのそれですが、襟の部分だけはきれいにN. veitchii Bario Y'sの特徴的な白/濃いピンクの細かいストライプが入っていて父親似なのが面白いです。

そういえば、このお父さんのN. veitchii Bario Y'sを使った交配種を画像などで色々と観察していると、このN. veitchiiはその子孫にかなりの確率で真っ赤なピッチャーの色味とストライプ襟を遺伝するようで、交配親としてかなり優れていることが分かってきました。

N. veitchii Bario Y'sは、山田食虫植物農園(Y's Exotics)作出の赤い発色で知られるN. veitchii 'Akazukin' x veitchii Bario stripe peristomeの1個体です。そして、その'Akazukin' x Bario stripeはいずれもストライプ入りの赤いN. veitchii同士のクロスだった気がするので、イメージで言うと発色や襟のストライプに関する遺伝子型がホモのようになっているのではと思ったりもします。遺伝子学は全く不勉強なので雰囲気で喋っていますが。

2022年10月に撮影

ここまで何も手をかけずとも順調に生育しており、強健種同士のクロスという期待にそぐわぬ栽培の簡単さを見せてくれています。その強さが祟って、冬季の今は簡易温室の下段のあまり日に当たらぬ場所に追いやられるという苦難を味わうことになっていますが(汗)、生育のペースを落としながらも健気に育っています。


N. boschiana BE-3448 x veitchii Bario Y's

この株は、使われている両親から見ても、いま現在現れている素質を見ても、その将来は間違いないんじゃないかと思っています。そして、育てやすさとかピッチャーの付けやすさの観点でも優秀だと思います。

ネペンテス・ボッシアナ普及促進協同組合の会員No. 0001(全会員数1名)の私としましては、これからもその生育を暖かく見守っていきたいと願ってやまない交配種です。

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