­
­

Nepenthes maxima wavy leaf Rindingalo, North Toraja, Sulawesi

By b.myhoney - 3月 03, 2023

相変わらず忙しい日々が続いておりなかなか更新できずにいますが、無事生きております。

昨シーズンは簡易的なビニール温室+それほど電力の大きくないヒーターで比較的良好に冬を越せたのですが、今季は株数が増えたことや忙しさから管理が十分に行き届かないこともあって、全体的にはあまり調子が良いという感じではないです。さすがに栽培者としてどうかと自分でも思います。。

仕事もプライベートもやや落ち着いてきて、これから春~夏に向けては次第に余裕が出てくるはずではありますので、更新頻度が今よりも上がっていくものと思います。

さて、久々の登場となる表題の株ですが、これまでのストック写真を供養しつつ、ここまでどのように見た目が変化してきたのかを記録したいと思います。

N. maxima wavy leaf Rindingalo, North Toraja, Sulawesi


まずは本株を購入したばかりの頃。ミズゴケ植えで届いたため、そのまま追加のミズゴケで周囲を包んでテラコッタの小鉢に植えていました。

葉はペラペラで薄く、こんなに小さい姿でした。種類ごとの特徴が現れる前の幼少期の姿をしており、これを見ただけではN. maximaだと同定するのは不可能なことでしょう。

しかし後になって見返してみると、既に葉や赤ん坊ピッチャーに濃い発色を予感させる兆候が見られることに気づきました(後の写真を見ると分かるように、このマキシマは発色が濃いのです)。


その後、「N. maximaは根の過湿に弱い」という昔からの言い伝え?に従い、砂利系の用土に植え替えて1シーズン(春~冬)の間育ててみましたが、なかなか思うように大きくなりませんでした。

上は冬に撮影した写真で、寒さからか葉には赤い色素が沈着していますが、よく見ると葉の展開ごとにサイズはほとんど変わっておらず、なんとなく生育が停滞している様子がわかると思います。

プラ鉢よりも通気、蒸散の多いテラコッタ鉢に、鹿沼メインで軽石、セラミス等の砂利系用土の組み合わせということで、いま振り返るとかなり乾燥環境にあったと思われます。


そこで、風の通りの良いわが家のような環境では、もっと用土の保水性が必要かなと思い、ミズゴケ植えに戻すことを決心しました。また、鉢もプラのスリット鉢にすることとし、一気に2段階ぐらいの保水性アップ?を果たすことになりました。

今となって写真をよく見ると、右側のやや波打っている葉の裏に線状の跡が付いており、スリップス(アザミウマ)の害虫被害で停滞していた可能性もゼロではないと思いますが(薬散は本当に大事)、乾きすぎの用土の見直しも必要だったと思っています。


再度、ミズゴケに植え替えをして間もなく、それまでよりも大きくてしっかりと開いた葉に、それまでよりもひと回り大きなピッチャーを付けました。

恐らく、この植え替えは正解だったと思われます。



その後、やや丸っこくて襟にストライプの入った袋(上)や、全体的に黒っぽく染まった袋(下)をつけるなど、様々な表情を見せつつのんびりと成長を見せてくれています。

ネペンテスを幼苗から育てることの楽しさの一つに、このように姿・形を変えながら徐々に大きくなっていくところがあるなと個人的には思います。


上の写真は、もう少しして付けたピッチャーの経時的変化を示しています。

できたての頃は鮮やかな赤色で、リップはクリームホワイト?イエロー?をしていますが、時間が経過するとともに黒っぽくなり毒々しさが増していきます。

個人的には、この毒々しい雰囲気こそN. maximaっぽくて良いなと思うので、良好な発色を見せてくれて嬉しいです。

山田さん(Y's Exotics)からは何度か、これと同じ北TorajaのRindingalo産のN. maixmaが販売されています。

どうやらこのマキシマ達は実生とのことで、見た目のバリエーションが豊かです。大株になったものを見ると、ピッチャーが赤っぽいものから黒っぽいもの、綺麗なストライプ襟から真っ黒な襟まで、実に様々な個体差が見られるようです。


昨秋に、簡易温室に入れる前の姿です。ミズゴケに植え替えてからはずいぶんと大きくなりました。割と水が好きな品種、個体だったようです。

個人的に得た教訓としては、「この種は過湿させないように」とか「水を多めに」など、先達の経験から得た教えとして広く言われることがあり、それはある面では正しいのですが、環境が違えば適切な水量も違うし、もっと言えば個体が違えば好む水量だって違う可能性があるわけで、広く言われることを盲信することもそれはそれで怖さがあるわけです。

なによりも目の前の株を観察することが大切だなと気付かせてくれました。

この個体、葉は波打つことなく、「はてWavy leafとは?」という感じではありますが(笑)、兄弟として販売された様々な個体を見ていても葉のウェーブが殆どないものから波々なものまで、ピッチャーのバリエーションと同じくこちらも個体差が大きい様子。

どうやらウェーブが表出する具合は、遺伝的な要素によって左右されるようです。


リーフスパンが大きくなってきたので、そろそろ鉢増しを検討しても良いのかも知れません。冬が明けて暖かくなってきたら、作業に着手したいと思います。

とはいえまだまだピッチャーの見た目もいかにも小株のそれといった感じですので、今後の生長に期待がかかりますね。

N. maxima wavy leaf Rindingalo, North Toraja, Sulawesi

最新のピッチャーはちょっとだけ襟が幅広くなり、わずかに大人のマキシマに近づいたかな?という感があります。

N. maximaはいかにも入門用の原種といった感じで、最近ではホムセンネペンとしても購入できるなど身近な存在としてあまり見向きもされないかもしれません。

ただ、個人的にはその見た目のバリエーションの豊かさであったり、大株になったときの幅広い襟やボリューム感あるピッチャーボディの迫力などがとても良いなと思うわけです。

この北トラジャ産の実生マキシマも、例えば名高いN. maxima dark (EP)のように、迫力満点の株になってくれたらなと密かに思っております。

  • Share:

関連する記事

0 Comments